世界で最もラギッドな唯一無二のローファー
一応私も「革靴好き」の端くれなのでこの靴の存在は知ってましたが、そこまで関心を持ってませんでした。しかしinstagramで目にする度に、こんなにラギッドでごっついローファーは他にはないなと思うようになりました。
だって普通のローファーはグッドイヤーウエルトかマッケイ製法でコバの薄いレザーソールがついており、どちらかと言うと上品で華奢なイメージをローファーに抱くかと思います。
ローファー御三家と呼ばれるJMウエストン180シグネチャー、オールデン986ペニーローファー、ジョンロブのロペスは全てグッドイヤーウエルトかつレザーソール仕様になってますから。それなのにこの靴は…
街履き用のローファーなのに登山靴に使われる屈強なノルウィージャン製法で分厚くゴツいラバーソールを縫い付けるという、もはやゴールがどこなのか分からない組み合わせになってます笑😂
しかしこの普通の考えではあり得ない組み合わせのおかげで、この靴にしか出せない上品かつラギッドな雰囲気が生まれ、ドレス系ファッション〜カジュアルスタイルまで幅広いコーデに合わせることができます!
そんな唯一無二の存在に魅了されて購入したパラブーツのランスについて今回は書いていきます。このランスはとにかくサイズ選びが難しく、今まで10足以上本格革靴を購入してきた筆者が買い直すほどなので、フィッティングについてしっかりレビューしたいと思います。
フランス靴はハーフサイズ下げる説が通じない
私や私の周りの靴好きの共通認識として、フランス靴はイギリス靴より大き目の作りなのでハーフサイズ下げるのが一般的だと考えていました。現に私が所有するフランス(元はイギリスだけど)のジョンロブはハーフサイズ下げてジャストフィットしてますから。
そしてランスと同じブランドであるパラブーツバースもイギリス靴よりハーフ下げたサイズを選びましたが、こちらもつま先が若干当たるものの甲や踵のフィッティングはジャストなサイズ感でした。
それらの情報や経験を鵜呑みにしてマトモに試着もせずに購入した私がバカなのですが、「バースと同じサイズで良いだろう」とネット通信のタイムセールでポチッとしたのが悪夢の始まりでした…☠️
手元に届いたランスはリスレザー特有の白く浮き出たブルームが発生してます。ちなみにブルームとは製造時に皮革に浸透させたグリースが表面に浮き出して、白く硬化した油分が正体なのは有名な話で、ブラッシングすれば簡単に除去できます。
早く履きたい気持ちを抑えられず、ブルームが付いたまま履いてみると…靴の中が足でパンパンになってるのよ涙
上から撮影してみると靴の幅より足の幅の方が広いのが分かります(画像2枚目)。また踵はヒールカップにビッチリとフィットしており、靴べら無しで履くことは不可能なほどタイトフィットです(画像3枚目)。何故バースでジャストのサイズがランスではキツイのか。。
クセのあるつま先とヒールカップのカーブ
そこで私が所有するバースをベースに作られたビットデッキシューズと比べてみました。ぱっと見はランスの方が大きく見えますが、実はどちらも全く同じサイズなんです。
画像をご覧の通りランスは細めのラウンドトゥなので、捨て寸を設ける関係で全長が長めに設定されてるのかと思ってました。しかし履いてみてビックリ、実は捨て寸が全くない所謂「つま先ドン」状態なんです。。
更に細めのラウンドトゥのおかげで前方向だけでなく横方向からもタイトに指を攻めてくるじゃないですか涙。ハッキリ言って拷問レベルに痛いし、普通に歩くのも厳しい…。しかし我々革靴好きは「頑張って履き込んだら馴染むのでは?」と考えちゃうんです😅
更に私を悩ませるのが、履き口に向かって内側に強くカーブするヒールカップ。ランスは紐で調整できないローファータイプなので、踵を抜けづらくする為にヒールカップのカーブを調整していると考察します。
しかしタイトフィットのサイズを選んだ場合、靴ベラ無しで履けないほど踵の履き口が狭いんです。更に数分歩いただけでアキレス腱が噛み付かれて、脂汗が出るほどの痛みに襲われます😱
指先はつま先ドン状態だわ踵はヒールカップがキツすぎてアキレス腱が噛み付かれるわで、とても履き込んでどうにかなるサイズ感ではありません。残念ながら革靴好きとしては恥ずべきサイズミスを犯したことになります。。
スニーカー感覚でサイズを選ぶのが正解!
このランスはノルウィージャン製法の極太ステッチと極太なラバーソールの見た目がラギッドなので、セクシーさを求める素足履きよりカジュアル感のある厚手ソックスの方がキャラクター的に合っているかと。
また色々なネット通販サイトで「中底が沈み込んで足にフィットする」と買いてますが、残念ながらランスの中底はコルクではなくゴム製なのでいくら履き込んでもほとんど沈み込まないのでご注意を!
なので履き込んで変化があるのはアッパーの皮革のみ。ランスに採用されているリスレザーは伸びやすいとネット通販サイトで書かれてますが、縦方向に皮革は伸びないので多少ゆとりを感じてもつま先ドンしないサイズを選ぶべきだと断言できます。
仮に最初からゆとりのあるフィット感のサイズを履き込んでいっても、横方向には多少なりとも皮革が伸びてしまいます。しかし多少の緩さはソックスの厚さで調整可能です。
またランスは厚手のソックスがとても似合うラギッドなデザインなので、逆に厚手のソックスが履けないフィット感のサイズは選ぶべきではないと個人的に考えます。
画像ではビジネス用ソックスを合わせてますが、ハーフサイズ上げることで履き口に隙間ができました。しかしカジュアル用ソックスを合わせれば隙間もなくなる上、やや緩かったヒールカップもフィットして全体的にほど良いフィット感が得られます!
①中底はゴム製でほぼ沈み込まない為、靴内スペースの変化はほぼなし
②アッパーの皮革は横方向に伸びるがカジュアル用ソックスで調整可能
③ランスのラギッド感と好相性な厚手ソックスが履けるサイズを選ぶ
以上の3点から、ランスはカジュアルソックスを履いて合わせるスニーカー感覚でサイズ選びをすればミスすることはないことが判明しました!逆に素足履きを考えてランスを選ぶ場合はサイズ選びが非常に難しくなると思います😅
参考までに他社の靴ブランドとランスのジャストサイズを比べてみると、筆者の場合エドワードグリーンとクロケット&ジョーンズと同じサイズになります。ちなみにオールデンの場合はハーフサイズ下のランスを選べばジャストフィットすると思います。
リスレザーのプレメンテは適当で問題無し
実はこのランス、サイズ選びだけでなくメンテナンスや履き心地についてもスニーカー感覚だな〜と個人的に感じてます。そもそもブルームが発生するほど皮革にオイルが入ってますから、ほぼメンテナンスフリーでいけます。
まず履き下ろしのタイミングでブルームをブラッシングで落とします。革靴好きの方なら乳化性クリームを均す時に使うブラシをお持ちかと思いますが、私はそのブラシを使って落としました。
ブルームを落とす時間は片足1分も要らないくらいで、あっという間に取れてしまいました。これだけ皮革にオイルが入っているので事前の手入れは不要かと思いますが、ここは革靴好きとしてプレメンテナンスは手を抜けない儀式なのでしっかり施行します。
とは言えメーカーが推奨しているリスレザー用のパラブーツ純正グリースは2,376円と意外と高額。。わざわざ買うのも面倒くさいし余計な出費はしたくないので、私は所有している同じフランスのブランドであるサフィールのコードバンクリームを代用しました。
ちなみにパラブーツ純正グリースは商品名の通り油分100%で精製されてますが、このコードバンクリームにもニートフットオイルという動物性の油分が配合されてます。パラブーツにそこまで拘ってないですし、そもそもリスレザーは耐久性の高い皮革なのでノーメンテでも大丈夫じゃね?ってことで😅
早速サフィールのコードバンクリームを塗布すると布が真っ黒になりましたが、ブラッシング後の仕上がりは全く問題ありませんでした。ちなみにリスレザーのメンテナンスは年に1回オイルアップすることをメーカーが推奨してますが、とても丈夫そうなので放ったらかしでも大丈夫かも笑。
ラギッドローファーの大人コーデと履き心地
ここではアメカジオヤジの筆者がランスを履くならどんなコーデを組むかについて書いていきます。この靴は先述した通り上品で華奢な雰囲気ではなく、どちらかと言うとラギッドでゴツい雰囲気なのでアメカジスタイルと好相性だと考えました。
またランスは合わせるパンツを選びませんが、個人的にデニムパンツを合わせることはしないでしょう。その理由は、同じローファーを合わせるならレザーソールのオールデンやJMウエストンの方が上品で大人っぽくデニムパンツをコーデできるからです。
では筆者がランスに合わせるなら軍パンやスラックスのような太いシルエットのパンツを選びたいところ。この戦車のキャタピラのような極厚ラバーソールが太いパンツをしっかり受け止めます。実はランス購入当初から軍パンと合わせることを想像してましたからね😙
最後に靴にとって重要な履き心地についてレビューします。色々な靴ブログでも書かれている通り、この極厚ラバー「マルシェソール」の返りが悪いのは間違いないです。特にタイトフィットで履いた場合は靴ズレを起こす可能性が高いほど硬いです。。
しかしソックスを合わせるスニーカー感覚で選んだサイズの場合、多少ゆとりがあるサイズおかげで靴内で足にゆとりを与えた上でカジュアル用ソックスが緩衝材の役割を果たすことで、まさにスニーカーに近い履き心地を味わうことができます。
そう、ランスは本格革靴のように育てる靴ではなくスニーカー感覚でラフに付き合う靴だったのです!なので本格革靴のようにタイトフィットで攻めたりすると、私のようにサイズ選びで失敗をしてお金を損することになります💸
サイズ選びが難しく買い直したランスまとめ
と言うことで、サイズ選びが難しすぎて買い直したパラブーツ「ランス」のサイズ感とコーデについて書いてきました。エドワードグリーン5足、ジョンロブ3足、JMウエストン2足、オールデン6足購入してきた革靴好きの筆者でもサイズ選びをミスるほどランスは難しかったです😂
もちろんランスはノルウィージャン製法で作られた本格革靴なんですが、中底がコルクで作られた他ブランドの靴と違いゴム製なので沈み込みません。なので履き込んで自分の足に合わせるのではなく最初からほど良くフィットしたサイズを選ぶのが正解でした。
そしてカジュアル用ソックスを合わせれば緩衝材の役割を果たして柔らかい履き心地をもたらしてくれます。しかもランスは厚手のソックスが非常に似合うので、この組み合わせは見た目にも履き心地にも好相性だと言えます!
またこの靴をコーデするなら、合わせるパンツはデニムパンツより軍パンやスラックスタイプの太いパンツの方が無骨なランスには好相性かと思います(完全に筆者の独断と偏見ですが笑)。
参考までに2回目に購入したランスはネット通販サイトで並行輸入品を51,000円で購入しましたが、ポイント還元率の高い日に購入したので実質48,000円くらいでゲットできました。もしネット通販サイトで購入するならサイズ交換可能なお店をオススメします。
以上、私がミスしたパラブーツランスのサイズ選びが読書の皆さんのお役に立てれば幸いです。以上です!