ヒモなし靴のサイズ選びは本当に難しい
あれは遡ること7年前の2015年、ブログ仲間であったカトチン氏がフランス旅行へ行った際にお願いして買ってきていただいたのが、革靴界の超定番モデルであるJMウエストンの180シグニチャーローファーになります。当時フランスで買えば7万円台でしたので、今の定価を考えるとめちゃくちゃ安いですね。
私が選んだカラーは通称「ウエストンブラウン」と呼ばれる明るめのブラウンで、正式名称はANILOU BERGERONNETTEになります(読めません笑)。この色は10年選手になるまで育てると、なんとも言えない魅力的なブラウンに変化するのを雑誌Beginで紹介されていたので選びました。
また使われている革は世界最高峰のタンナーであるデュプイ社のボックスカーフ(アニリンカーフなので、質感はジャンロブと同レベルのクオリティの高さです。その革をウエストンの職人が狂いのないステッチワークで縫い上げられており、見た目も非常に丹精な仕上がりになっています。
JMウエストンのローファーはフランスで買ったとしても決して安い靴ではない為、日本の靴売り場で試着させていただき慎重にサイズ選びをしました。当時は足の浮腫みが出る夕方に試着するのがベストな時間帯と言われていたので、その法則に従いました(結局失敗するけど笑)。
この180シグニチャーローファーはヒモで調整ができないので、なるべくキツいサイズを選んで自分の足で革を伸ばして馴染ませるのが当時のサイズ選びの定番でした。今にして思えば、パラブーツのランスなんかソックスでサイズ感を調整してるくらいなので、ここまで攻めなければ良かったと後悔…。
そう、オールデン8ハーフD・エドワードグリーン8E・ジョンロブ7ハーフEがジャストサイズの筆者がJMウエストンで選んだのは、7Cという縦寸もウィズ(横幅)も攻めに攻めまくったサイズだったのです。この頃は「履き込めば馴染んでマイサイズになるだろう」と信じていましたから。
ウエストン名物「万力締め」フィッティング
夢にまで見たウエストンのローファーが手元に届いて、先ず施行したのはプレメンテナンス。私も色々なクリームを使ってきましたが、最後に行き着いたシューケアブランドがフランスのサフィールになります。このビーズワックス配合の乳化性クリームは掛け値なしでオススメです!
当時私はエドワードグリーンにどハマりしており、つま先と踵だけ濃い色で仕上げる通称アンティーク仕上げに魅了されていました。その点、このウエストンは全てのパーツが同じ色合いでメリハリがありませんが、長年かけてエイジングすれば良い色合いに成長してくれます。
そしてフランスで購入してきていただいた個体を初めて履こうとした時、信じられない問題が発生します。それは何かと言うと足がローファーの中に全然入らないのです。履いた時間が深夜で足が浮腫んでいたのも理由ですが、この時点でイヤな予感しかしません笑😂
靴べらを使ってなんとか自分の足をねじ込んだ状態がこちらですが、靴から足の肉がはみ出しているのが分かります。足長も短めのサイズ7を選んだので捨て寸はほとんどなく、指先がいつ当たってもおかしくない状態です💦
確かにフランス靴はイギリス靴に比べてハーフサイズ下げるのがセオリーでしたが、今回は1サイズも下げてしまったのが敗因の理由になります。しかもウィズもCとタイトフィットを選んでしまったので、もう足の肉の行き場がありません笑。
そして耐えきれず数分で靴を脱いでみると、踵の肉が赤く鬱血しているだけでなくフットカバーの滑り止めゴムの痕がびっちり付いています。「本当に馴染ませることができるのか?」と半信半疑のまま、この日から毎日家の中で履いて慣らしていくのです。。
悶絶地獄級の痛みを伴った外履きデビュー
家の中で1時間、2時間と少しずつ時間を延ばして馴染ませていこうと頑張りましたが、ウエストンは全然言うことを聞いてくれません。今にして思えば、ここまで苦労してまで履き慣らすくらいなら普通フィッティングのサイズを選んでソックスで調整する方が合理的ですね。
そしてある終日会議の日、外をほとんど歩かなくて良い又とない外履きデビューのチャンスと踏んでスーツに合わせて出発しました。もちろん私も分かっております、スーツにローファーを合わせるのはセオリーとしてタブーですし見た目もメチャクチャダサいことを😂
そして会議が始まって1時間が経過した頃、足に違和感が出てきました。そうなんです、ウエストンの万力締めによって血流が止まってしまい足の感覚がなくなっていたのです笑。特に足裏の肉(画像下の赤枠)がCウィズによる狭さで行き場を失ってしまい…
まさにパイレーツのだっちゅーの状態になってしまいます(懐かしい笑)。要するに靴の中で足裏が完全に開かずに肉が寄せ集まって重なっているので、とにかく痛いのなんの。。
なので万力締めによって靴の中で足がほとんど動かないホールド状態になっているので、仮に捨て寸が1mmしかなくても問題ないと言うことになります。その代わりにハンパじゃない痛みに耐えなくてはならないことは言うまでもありません。
この時点で私の脳裏には「サイズ選びに失敗したかも…」という言葉と「まだ闘いは始まったばかり、頑張れオレ!」という励ましの言葉が交互に飛び交っていました笑。
キツすぎるので靴ベラで履き口に傷が…
外履きデビューから2日目のこと、痛すぎて脱ぎ履きを繰り返していたら履き口の革がめくれているのを発見。おそらく踵を強引に靴の中に入れる際、靴ベラで傷を付けてしまったのでしょう。まだ2回しか履いてなかったのでショックは隠しきれません。。
仕方ないので、帰宅後にセルフリペアを敢行しました。実はエドワードグリーンでも同様に革がめくれた際に瞬間接着剤でくっつけた経験があるので、そこそこ自信はありました。しかし瞬間接着剤を付けた瞬間、気を失いそうになりました。
そうです、瞬間接着剤の痕がめちゃくちゃ目立つシミになってしまったのであります笑。よく考えたら、エドワードグリーンはダークオーク(ダークブラウン)だったので接着剤の痕が気にならなかっただけで、ライトブラウンなら目立つことはちょっと考えれば分かります😩
しかし、そんな事で挫ける私ではありません。早速濃いめの乳化性クリームをシミの周辺に塗布し目立たないよう色合いを調整していきます。まぁ完璧とまではいきませんでしたが、ぱっと見はほとんどシミが分からないレベルまで誤魔化すことができました!
それにしてもウエストンのローファー修行がここまで厳しいとは想像していませんでした。もちろんエドワードグリーンやジョンロブ、オールデンなどのブランドでは修行なんてほとんどないので、やはりウエストンが特別な存在なのかもしれません。
購入して外履きデビューからたったの2日目で、180シグニチャーローファーを履き慣らせずにいた私の心はほぼ完全に打ちひしがれていました。そろそろ履き込みやエイジングに注力するのではなくヤフオク出品の準備をした方が良いのでは?と。。
外履き4日目で履き口が伸びてつま先ドンに
それでも大枚をはたいて購入した高級靴ですので、そう簡単に諦める訳にはいきません。その後も足の痛みに耐えながらウエストンのローファーを外履きして4日目のこと、履き口が伸びたおかげで脱ぎ履きがだいぶ楽になっているじゃないですか!
画像下のようにフットカバー(素足風ソックス)がチラ見えするほど履き口の革が伸びてきましたが、この180シグニチャーローファーのヒールカップはカーブが緩くホールド感が甘いので踵が抜けやすくなってしまいました😭
また脱ぎ履きが楽になったことで逆に致命的な問題が発生することになります。それが壁ドンならぬ「つま先ドン」問題だったのです笑。先述した通り今回選んだサイズは足長もウィズも攻めたチョイスだったので、捨て寸に関しては1mm程度しかなかったのです。
購入した当初は足を入れるのもやっとなレベルだったので靴の中で足が動かなかったのですが、履き口が伸びてホールド感が減ったと同時に歩くたびに足が前方向に動いてつま先が当たって痛いので普通に歩いていられません。。
革靴愛好家の筆者は横方向の痛みには耐えられるようエドグリやジョンロブで鍛えてきた自負はありますが、さすがに縦方向の痛みには耐えられません。また皆さんもご存知の通り革靴は横方向に伸びても縦方向には伸びませんので、この時点でアウトです😭
実は以前に購入したパラブーツのランスでも同じミスをしていますので、やはりフランス靴はサイズ選びが難しいと改めて感じています。事実ハーフサイズ上げたランスの履き心地はまるでスニーカーのように快適でしたので、ウエストンもハーフサイズ上げたら全然違う結果だったでしょうね。
サイズ選びに失敗したウエストン180まとめ
と言うことで今回は拷問のようにキツいサイズを選んで後悔したJMウエストンの180シグニチャーローファーについて書いてきました。もし再度買うとしたら、今回選んだサイズよりハーフ上げてウィズも一つ大きいDを選ぶかと思います。
また私はヒールが抜けるのを懸念してタイトなサイズを選択しましたが、180ローファーのヒールカップはカーブが緩くフィット感が甘いので、結局はパラブーツのようにソックスでサイズ感を調整するのが良さそうです。幸いソックスをコーデに取り入れるトレンドが来ていますからね!
私は残念ながらウエストンとの相性が合いませんでしたが間違いなく名品ですし、ジョンロブのロペス・オールデンのコードバンローファーと並ぶ世界3大ローファーの一翼を担う魅力的なモデルだと思います、180シグニチャーローファーは。以上です!