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臭い古着のバブアーを洗濯してオイル抜き後に自分でリプルーフしてみた

旧タイプの臭いオイルを手洗いにて除去する

以前の書いた記事で「古着で購入した臭いバブアーのオイルをなるべく落とさずに臭いだけを除去する洗濯方式」という内容をお届けしましたが、その32℃のぬるま湯を使った洗濯方法でもオイルが抜けて変色しまったのが今回の主役である縦型4つポケットのビデイルジャケットになります。

その洗濯方法で洗ったもう1着のブラウンチェンジした80sソルウェイジッパーはほとんど変色しませんでしたが、やはり濃いセージグリーンだとオイルが少し抜けるだけでも色目の変化が大きいと感じました。そこでどうせ変色したのならガッツリとオイルを抜いてからリプルーフしてみようと考えました。

そもそもヴィンテージバブアーの雰囲気を損いたくないからオイルをなるべく落としたくなかったのであって、色味が抜けてしまったのなら臭いの原因であるオイルを抜いてしまった方が臭いを気にせず着られます。その後リプルーフすることで本来のセージグリーンの色味に戻すことができます。

 

 

 

 

 

洗濯方法は前回のなるべくオイルを落とさない時と同じくワイドハイターPROとスーパーナノックスを使いますが、今回はお湯の設定温度を32℃→40℃に熱くすることでオイル除去率を上げることにしました。もちろんお湯の温度が上がるほどオイルは抜けやすくなりますが、同時に生地は縮んで痛みやすくなります。

その点ぬるま湯に毛が生えた程度の温度である40℃で洗えば、生地の縮みやダメージを極力抑えつつもオイルはしっかり抜けると考えました。その洗濯方法の結果は想定通りで、お湯にオイルが溶け出しヌルヌルとした手触りになり、色も泥のような茶色に変色しました(お目汚し申し訳ありません🙇🏻‍♂️)。

また前回の洗濯方法ではアロマビーズや柔軟剤を使用しましたが、今回はお湯が透明になるまで濯いだら香り付けは一切せず陰干しすることにしました。その理由は乾燥後にバブアー純正ソーンプルーフドレッシングオイルを使ってリプルーフしてしまうので、柔軟剤の香りもオイルでマスクされると考えたからです。

 

 

 

 

 

 

 

脱水機は縮みの原因なのでそのまま陰干し

前回の洗濯記事でも書きましたが、洋服が縮む原因の一つに脱水機による脱水があげられます。これは筆者が通っていた古着屋のオーナー数名が口を揃えて言っていたことで、もしサイズがギリギリの古着を縮めたくないなら脱水機を使わないで洗濯することを強く勧められたことを覚えています。

その脱水機による縮みの原因ですが、おそらく脱水機の中で洗濯物が高速回転することで繊維の組織が押し潰され衣類が縮むと考えられます。また今回洗濯したビデイルジャケットは裄丈がギリギリの長さしかないので、ツンツルテンにしない為にも脱水機は使わずびしょびしょの状態から外で陰干しすることにしました。

画像ではそのままパイプハンガーに吊るしていますが、バブアーは裏地よりオイルド生地の方が乾きやすいので裏返して干した方が乾燥するのが早いです。そして乾燥後にビデイルジャケットの実寸を平置き計測してみましまが、嬉しいことに洗濯前とほぼ同じ実寸だったことを報告しておきます。

 

 

 

 

 

こちらが40℃のお湯+ワイドハイターPRO+スーパーナノックスで洗濯後のビデイルジャケットになります。パッと見てお分かりの通りオイルはほとんど抜けてしまい、ポケットのフラップに少し残っている程度です。色も元々のセージグリーンとはほど遠く、ライトグリーンに近い色の明度となってしまいました。

ただし臭いについては明らかに洗濯前より減っており鼻を押し付けてようやく分かるレベルまで脱臭されました。前回の洗濯方法がオイルの臭いをアロマビーズの香りで誤魔化す対症療法だとすれば、今回の洗濯方法は臭いの原因であるオイルを取り除いて臭いを減らす原因療法と言えます。

しかしオイルがすっかり抜けた見た目は残念ながら貧乏臭いですし、何よりオイルが抜けたコットン生地は強度が弱いので破れやすくなってしまいます。ここは気合いを入れて人生初のバブアーリプルーフ作業に取り掛かり、元の艶々としたセージグリーンに戻さねば!と心に誓うのでした(大袈裟か笑)。

 

 

 

 

 

ほぼ無臭な現行の純正ソーンプルーフオイル

バブアー路面店まで買いに行くのが面倒くさかったので、Amazonでポチッとして翌日届いたのが現行のソーンプルーフドレッシングオイルになります。定価は3,520円なのにAmazonで送料込み4,000円で買ってしまいましたが、人間歳をとってしまうとつい手間をお金で買ってしまいますね笑

この現行ソーンプルーフドレッシングオイルですが、モデルチェンジしたのはスリムフィットラインが登場した2010年ごろだと言われています(画像2枚目)。よって2000年代のバブアーは旧タイプのオイルが使われていて臭いので、もし古着でバブアーを購入する際には製造年のチェックは必須となるでしょう。

実際に現行ソーンプルーフドレッシングオイルの蓋を開けて鼻を近づけて嗅いでみたらほとんど無臭で、旧タイプのオイルのような臭いとは正反対でした。これなら旧タイプのオイルが使われた個体を洗濯してオイル抜きした後に現行オイルでリプルーフすれば、あの臭いはせずに艶々に仕上がるのでは?🤔

 

 

 

 

 

さてリプルーフをする準備に取り掛かりますが、まず準備しなくてはならないアイテムはソールプルーフオイルを塗り広げる為の布、ドライヤー、ブラシは必須アイテムとなります。ブラシに関しては100円ショップの靴メンテナンスコーナーに置いてある豚毛ブラシでも問題ありません(画像1枚目)。

またオイルを塗り広げるアイテムは布でなくてもスポンジでも可能ですが、オイル缶の口に入れやすいようコンパクトなサイズにした方が使いやすいです。ちなみに筆者は不要になったユニクロのコットン100%カットソーをハサミで切って、塗布用のボロ布として再利用してみました。

そしてソーンプルーフオイルの蓋を開けると固まったオイルの姿が現れますが、この状態のままではバブアーに塗り広げることはできません。ここからオイルを缶ごと湯煎して液状化させる儀式を通過してから、初めてバブアーに塗布することができるのです。ハッキリ言ってめちゃくちゃ面倒くさいです笑😂

 

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想像以上に重労働!湯煎と塗布のループ作業

とある休日の午前10時、意を決した筆者は台所に向かいソーンプルーフオイルを鍋に入れ湯煎を開始しました(もちろん蓋は閉めます)。購入時の固まった状態から液状化させるのに掛かる時間は、中火でおおよそ5分程度も湯煎すれば画像2枚目のレベルまで液状化できます。もちろん全部を液状化する必要はありません。

ただ今回初めてリプルーフにチャレンジした感想をお伝えすると、オイルが塗り広げやすい液状化の状態から固形化するまでの時間が意外と短いと感じました。よってパーツ毎にオイルが塗り終わった頃に固まり始めるので、改めて湯煎して次のパーツを塗るという無限ループと戦わなければなりません笑。

しかも1回目はナメて掛かっていたのもあって素手でオイルを塗布しましたが、これが大失敗。読者の皆さんが想像する以上に手のヌルヌルが取れないので、3回以上の手洗いが必要になってしまいます。よって可能であればビニール手袋を準備した上でリプルーフにチャレンジすることを強くオススメします🧤

 

 

 

 

 

そして湯煎して液状化になったソーンプルーフオイルをバブアーに塗布していきますが、バブアーの生地が冷えているのでオイルがすぐに固まり塗り広げるのが難しいと感じました。とは言えクソ暑い夏にドライヤーを使うリプルーフを施行するのは苦行なので、やはり春か秋になるのが良さそうです。

また塗り広げやすい液状化したソーンプルーフオイルは結構ムラになりやすいのですが、そのムラは気にする必要はありません。何故ならその後に施行するドライヤー&ブラッシング工程で簡単に均一化できるので、このオイルを塗り広げる段階ではムラは気にせずスピード重視で塗布することをオススメします。

結局筆者がビデイルジャケット全体を塗布するのに掛かった湯煎の回数は4回で、右前・左前・両袖・背面を移行するタイミングで湯煎し直しました。特にラグランスリーブの袖と襟裏の塗布が難しく時間が掛かるので、気が付いたらオイルが固形化し始めてしまい苦汁をなめさせられましたから…🤮

※湯煎した鍋ごとバブアーの近くまで持っていけばオイルの温度が長時間キープされ固まるのを防げる、と古着仲間のにょ〜さんから教えてもらったので共有します!

 

 

 

 

ドライヤーで温めながらブラッシング仕上げ

パーツ毎にソーンプルーフオイルを塗布していきましたが、やはり塗った箇所と未塗布の場所では色の濃さが全然違うのが分かります(画像1枚目)。また洗濯して乾燥後に細かく入った洗濯ジワもオイルを塗布することで伸びていき、全体を塗布した後にはシワが全然気にならないレベルまで落ち着きました。

やはり1894年創業と120年以上の歴史を誇るバブアーのオイルドジャケットは正しい手入れをすることで永年に渡り使い続けられる頑丈なアウトドアウエアであると再認識させられました。逆にこのままオイルを抜いた状態で着ていては、バブアーのオイルドクロス本来の良さを引き出せません。

そんなこんな悪戦苦闘しながら湯煎→塗布→湯煎→塗布を4回繰り返し、全体が塗り終わるのに約1.5時間は掛かりました。今回は初めてのリプルーフだったので襟裏や袖に時間が掛かってしまいましたが、塗布自体は適当にやっても問題ないことが判明したので次回以降は時間短縮できると感じています。

 

 

 

 

 

全体にソーンプルーフオイルの塗布が完了しましたら、いよいよ仕上げの「ドライヤーで生地を温めながらブラッシングして生地にオイルを浸透させる」作業に取り掛かります。既に塗布したオイルは白く固まってしまっているので、そのままでは生地に浸透しないだけでなくムラで汚い見た目のままになります。。

早速筆者が愛用している安くてお洒落なヘアドライヤー「SALONIA」を使い、強風モードではなくノーマルモードの風量でバブアーの生地に熱を加えていきます。そして温まったオイルドクロスをブラシで擦っていくとオイルが白く浮かび上がるので、透明になるまで靴を磨くように擦っていきます。

そうするとオイルが表面で艶々していた生地にオイルが浸透することで艶がなくなり、マットな質感になった段階で完了です。ドライヤー&ブラッシング前後でどれだけ艶感が違ってくるのかは一目で分かりますので、ドライヤーを当てながら艶がなくなるまで擦ってみてください(画像3枚目の赤枠はブラッシング前)。

 

 

 

 

 

 

 

数日陰干し後に余分なオイルを拭き取り完成

当初リプルーフ後は臭いの問題もあるので庭の物置に衣類カバーを掛けて保管しようと考えていましたが、嬉しいことに旧タイプの臭いオイル抜き&ほぼ無臭の現行ソーンプルーフオイルのおかけで全く臭いが気にならないので、娘の部屋のカーテンレールに吊るして陰干ししております。

正直オイル抜きがここまで脱臭効果が凄いとは想像もできなかったですし、オイルが馴染んだら衣類カバーを掛けてクローゼット保管しても問題ないほど臭いが気になりません!やはりお湯は32℃より40℃の方がオイルがしっかり抜けますし、生地へのダメージもそこまで大きくないのでオススメの温度です。

またブラッシング完了時にはマットな質感になっていたオイルドクロスですが、時間が経過するにつれて生地に浸透しきれない余分なオイルが浮かび上がってきました。これは2〜3日経過しても様子が変わらなければ、ボロ布で拭き取って手でオイルドクロスを触っても大丈夫な状態にしなくてはなりません。

 

 

 

 

 

今回のリプルーフで一番難しいと感じた箇所が襟裏で、少しでもミスをすると表面のコーデュロイ生地にオイルが付着するリスクが高いと感じました。しかし適当にオイルを塗布して後でドライヤーで温めながらオイルを伸ばしていけば、表面を汚さずに万遍なくオイルを浸透させられました。

さらにポケットのフラップ裏に関しても同じで、特にオイルを塗布しなくても周辺の生地で余ったオイルやブラシに付着したオイルをドライヤーで溶かして擦れば、しっかりとオイルを浸透させることができました。やはり肝となるのはオイル塗布よりドライヤー&ブラッシングの方が重要だと感じました。

またブラッシングすることでオイルドクロス全体のムラが無くなるだけでなく、パッカリングの入った縫製された箇所にも細かくオイルを浸透させることができます。ここまでの作業時間は3時間近く掛かりましが、仕上がりの状態や掛かったコストを考慮すると非常に満足度の高い施行だったように思います!

 

 

 

 

 

臭いバブアーを洗って自分でリプルーフまとめ

と言うことで今回は臭い古着のバブアーを洗濯しでオイル抜き後に自分でリプルーフする方法について書いてきましたが、かなりの重労働であることは断言しておきます笑。しかしクリーニング屋のラヴァレックスだとクリーニング&リプルーフで13,200円、クリーニングのデアだと19,800円もしてしまいます💸

その点自分でリスクと労力を掛けて洗濯&リプルーフをすれば、掛かる経費はバブアー純正ソーンプルーフオイル代3,520円だけだしビデイルジャケット1着なら1缶の3分の1も使わないので実質1,000円程度で施行できます。あとはドライヤーを30分以上は使いますので、その電気代くらいでしょうか。

さらに自分でリプルーフすると愛着が湧いてくると誰かから聞いたことがありますが、実際に施行してみたらその意味が分かりました。筆者もこれまで10着以上のバブアーを購入してきましたが、今回かなりの労力を掛けてリプルーフした縦型4つポケットビデイルジャケットが一番のお気に入りになりました!

 

 

 

 

 

また臭い旧タイプのオイルを40℃のお湯+ワイドハイターPRO+スーパーナノックスを使ってオイル抜きをすることで、臭いは劇的に減少したものの生地もパサパサになりました。しかし現行ソーンプルーフオイルを使ってリプルーフすることで無臭のまま濃いセージグリーンに復活させられました!

こちらにリプルーフ前後の画像を転載しましたが、「本当に同じバブアーなの?」と言うくらい色もオイルドクロスの質感も違うのが一目で分かります。これが自分の労力と気合いさえあればたったの1,000円程度で手に入るなら、試さないのはもったいないと思います(オイル抜きは縮みのリスク覚悟でお願いします💦)。

またヴィンテージのバブアーをリプルーフすると現行っぽい雰囲気になってしまうのでは?と不安でしたが、縫製部のパッカリングや真鍮パーツのエイジングのおかげでヴィンテージの雰囲気をキープできており一安心しました。是非読者の皆さんもセルフリプルーフにチャレンジしてみてください。以上です!

 

 

 

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