裏原宿世代に愛されたリーバイス505
我々40代半ばのオヤジ達は、1990年代中頃〜後半が青春時代でした。そんな我々オヤジ世代がリーバイス505と聞いてすぐに思い出すのが藤原ヒロシ氏が火付け役となってブレイクした裏原宿系ファッションになるかと思います。
1990年代中頃といえば第一次古着ブーム真っ只中だったので、ヴィンテージスウェットにダメージのオーバーサイズのリーバイス501XXやbigEを腰ばきしてレッドウイングのブーツを合わせるのが最高にカッコ良いとされていました。
しかし藤原ヒロシ氏が率いる裏原宿ブームが到来すると、氏が愛用するリーバイス505が突如として注目されました。この505はオーバーサイズで穿いても裾幅が狭いので、ブーツに合わせると裾がもたつきますが、そのクッションの入り方が当時は良かったようです。
と言うことで昔話から始めてしまいましたが笑、今回は私が所有するヴィンテージのリーバイス501の66モデルと同年代の505シングルステッチモデルのシルエットを比較していきます。
タテ落ちが魅力的なアーリー70sリーバイス
ここ数年ヴィンテージ古着業界ではコンディションの良い501XXが異常な高騰を見せています。確かに残存する501XXの数も減っている中で状態の良い個体は更に少ないので、ノーダメージの個体が50万円オーバーまで高騰するのも納得です。。
また501XXのシルエットはテーパードがほとんど掛かっていない土管シルエットなので、今時のファッションに合わせるのは難易度が高かったりします。そうなると501XXは余計に資産や投資の対象となるアイテムになっていきます。
その点70s前半の66前期やシングルモデルと呼ばれるリーバイスであればノーダメージの良い個体が10万円前後で購入できるので、手を出しやすいですしタマ数も501XXより多いので古着屋でも比較的見つけやすいパンツです。
そこでリーバイスを代表するストレートシルエットの501とテーパードストレートの505をそれぞれジャストサイズで穿いた時のシルエットの違いについてレポートしていきます。
古いディテールが散見される16工場モデル
今回登場する501の66モデルは以前に紹介しているので割愛しますが、その代わり505シングルについてディテールをご紹介します。私の所有する505はボタン裏が16と刻印されている通称「16ボタン」と呼ばれる個体になります。
この16ボタンはリーバイスの外注先であるミシシッピ州ボールドウィンにあるラッキースターインダストリーズ社の工場であるが判明しており、がリーバイスの委託で製造されていたラインということになります。
また面白いのが、この16ボタンの個体は何故か同年代のモデルより古い生地やパーツが使われることで有名なんです。実際にこの個体も1974年製にも関わらず60年代初期のディテールであるスコービル社のジッパーが使われてます。
またラッキースター社で外注生産された16工場の紙パッチは何故か破れづらく残存している個体が多いのですが、この個体も多分に漏れずしっかりと紙パッチがほぼ完全に残っています。
私はボタン裏6刻印のエルパソ工場で製造された501bigEを3本所有していますが、2本は完全に欠損しており、残りの1本は紙パッチがカチカチ…。その点16工場の紙パッチは触ってみると柔らかくしなやかなので、パキッと割れるリスクは皆無です。
また16工場のデニムは一世代古い生地が使われることがあるとも言われていますが、この505に関しては今回比較する同年代に作られた501の66前期モデルとタテ落ち感やインディゴの色味はほとんど変わりません。
501と505のディテール比較
それでは501の66前期モデルと505シングルモデルのディテールの違いについて見ていきます。実はこの2本は製造年もたった1年しか違わいなので、ほぼ同世代と呼んでも過言ではありません。
ですのでタテ落ちするデニムの最後のディテールと呼ばれているヒップポケット裏のシングルステッチだったり、全体を占めるスパン糸の使用量やスモールeの赤タブ等のディテールは全く変わりません。
ただし、501の66前期モデルは約10%の縮みが出る生地(shrink to fit)なのに対し505は縮率3%未満の防縮加工(preshrank)が施されている生地という大きな違いがあります。これはジッパーがデニムの縮みによって壊れることを防ぐ為に開発されたと言われています。
またもう一つ違いですが、501は1986年まで赤耳が標準装備されていますが、505ではbigE時代を含めて赤耳付きの個体は中々見つかりません。実際に筆者も18歳の時に赤耳付き505bigEを運良く購入できましたが、それから25年以上マイサイズに巡り合っていませんから😂
明らかに違うシルエットの501と505を比較
それでは今回の比較で最も重要な501と505のシルエットの違いについて見ていきます。実は501はW31で505がW30なのでサイズが1インチ違いますが、501の方が縮率が大きいので1サイズ上でも実寸はほぼ同サイズになります。
まず穿いて両者の違いを感じたのは股上の深さで、股上30cmとしっかり深い501の66前期に対して505シングルは28cmと2cmも浅いことになります。たかが2cmと思われる方もいるかと思いますが、実際に穿いてみるとイチモツの収まり具合が全然違います笑。
さらに505はテーパードストレートを標榜しているので当然裾幅も細く、レギュラーストレートの501が裾幅20cmなのに対し505は18cmと2cmの差があります。これは周囲で換算すると4cmも細くなりますので、見た目への影響も大きくなります。
あと計測はしていませんが、太もも周りも明らかに505の方がタイトフィットだったことを付け加えておきます。ジャストフィットで穿いた505は全体的にタイトシルエットで。なんならスキニーデニムのようなフィット感です。
70sヴィンテージ501と505の比較まとめ
と言うことで今回は1970年代中頃までのタテ落ちする最後のヴィンテージリーバイス、501の66前期モデルと505シングルモデルのディテールやシルエットについて書いてきました。
結論を申しますと、70sの501はテーパードストレートで505はスリムテーパードのシルエットだと個人的に感じました。501XXを所有する筆者からすると、66モデルは細くテーパードが掛かった誰が穿いても似合うシルエットだと感じます。
リゾルトがこの66モデルを意識して作られた710というモデルが我々日本人を虜にしているのも分かります。逆に505はシビリアやヤコブコーエンのようなドレス感のあるスリムテーパードなので、クラシコ系ファッションが好きな方にオススメです。
ちなみに2022年現在、筆者が所有するリーバイスのデニムパンツは501が10本で502が1本と圧倒的に501が多いです。やはりどんなスタイリングにも合わせられるデニムパンツはリーバイス501で間違いないですね。以上です!
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