枯渇しつつあるUS NAVYサービスシューズ
ここ1〜2年はトレンドに乗っかって極太シルエットのパンツばかり穿いておりますが、そうなると問題になるのが極太パンツに合わせる靴。今まで休日に履く革靴といえばタッセルローファーやビットモカシンでしたが、これらの靴では極太パンツに合わせた際にボリューム感が足りない。。
そこで思い浮かべるのがUS NAVYサービスシューズ。ポッテリとしたつま先のシルエットと外羽根のデザインにボリューム感あるので、極太パンツと相性バツグンな靴になります。当然アメリカ古着愛好家の筆者も所有していましたが、大きめなサイズ感がどうしても許せずてばなすことに。
やはり外羽根のレザーシューズは羽根が閉じてしまうと「サイズ合ってなくね?」という見た目になってしまうので、元来革靴愛好家だった筆者としては妥協できません(涙)。では似たようなデザインの現行で作られている革靴はないかと探してみると、お値打ち価格のイギリス靴を発見!それは…
英国軍採用サンダースのミリタリーダービー
イギリスのMOD(英国国防省)に納入しているイギリス軍お墨付きブランド、サンダースのミリタリーダービーになります。この靴は多くのメンズファッション系YouTubeやブログでも取り上げられているので有名ですが、驚くのはこの円安&物価高の中でアンダー6万円を維持するお値打ちな価格設定です!
2024年現在では「英国の良心」と呼ばれたチャーチでさえ、定番モデルのコンサルで16万円もしてしまう時代。。さらに我々クラシコイタリア系ファッション時代にお世話になったクロケット&ジョーンズのタッセルローファーも現在11万円と、もはやイギリス靴をアンダー10万円で買うのは無理ゲー💧
その点サンダースであればイギリス軍お墨付きブランドな上に新品でも6万円で購入できるので、休日用の革靴として最適だと考えました。そこでアメカジ古着仲間オルネカルネさんに相談したところ、「絶対オールデンにしないと後悔しますよ」と悪魔の回答が出てくるじゃないですか笑。
上:サンダース 下:US NAVYサービスシューズ
確かにアメカジ古着愛好家なのにイギリス軍の靴に手を出すのは違和感がありますし、フランス軍M-47カーゴパンツを穿いていた時も違和感があったなぁ…。さらに気になっていたのがアッパーに採用されているポリッシュドレザーで、この革は一般的に知られる名称はガラスレザーになります。
ガラスレザーとは表面を樹脂でコーティングして艶を出す技法で、クリームでメンテナンスしなくても艶をキープできるのが特徴。しかし履きジワは入りエイジングはするけど革の色味や表情のエイジングは期待できません。これは同じガラスレザーを採用しているUS NAVYサービスシューズも同じ。
確かにアメカジ愛好家なのに6万円も出してイギリス軍御用達の靴を買うのは、ただの金銭的なら妥協でしかないかも…。それなら同じ6万円台でコンディションの良いオールデンの中古を探した方が満足度も高いのでは?そもそもヴィンテージ古着愛好家は古着には慣れまくっているので、靴も中古で問題なしです👌
メルカリで発見したオールデンのミリタリー靴
出典:LAKOTA HOUSE official website
オールデンのミリタリーシューズは中古でいいと考えていたものの、新品だといくらなのか念の為チェックしてみると13万円もするじゃないですか…。これがコードバンならまだしもカーフレザーで10万超えは厳しいのが本音なので、これは予定通り中古のマイサイズをせっせと探すしかなさそう💦
そこで早速メルカリで「オールデン 53711」と検索してみると15足ほど出品されており、ミリタリープレーントゥの中古相場は5〜7万円だと判明。う〜ん、これくらいの金額ならサンダースの新品と変わらないし、こっちはエイジングが楽しめるカーフだからアリだと自分を言い聞かせます笑。
メルカリで出品されている15足ほどの中から奇跡的にマイサイズのミリタリープレーントゥを6万円台で発見!しかもアッパーに傷もなくソールの減りもそこそこな美ユーズド品だったので即決しましたが、「まぁ何か洋服でも手放せばお金はなんとかなるだろ〜」といつまでたっても自転車創業な私…😂
ちなみに中古革靴のコンディションを見極めるポイントとしては、ソールよりもインナーのソックシートに印字されたブランド名がどれくらい残っているのかをチェックしています。ここの印字は脱ぎ履きが多ければ多いほど擦れて薄くなっていくので、その個体の着用回数の目安になると考えます。
中古革靴のメンテナンスはサフィールを推奨
オールデンのミリタリープレーントゥが届くや否や、元々革靴愛好家の筆者は自己流メンテナンスを施術していきます。まずアッパーを入荷性クリームで保湿&艶出ししていきますが、筆者は愛用中のサフィール・ビーズワックスファインクリームを使用しました。
実は2003年にトリッカーズのカントリーブーツを手に入れて以来、数多くの本格的な革靴を入手してきました。そして手入れにも相当拘ってきた筆者が行き着いたのがサフィールで、コイツに出会ってからメンテナンス用具は全てサフィールにするほど溺愛しています❤️
それまではモゥブレイなど国産のシューケアグッズを使用していましたが、サフィールのクリームは香りからして違いがあり「さすがおフランスのブランド!」だと感じます。もちろん香りだけでなくビーズワックスの効果も高く、もっちりと艶々に仕上がるのもお気に入りポイントです。
そんなサフィール製品の中で一番のオススメは先ほどのビーズワックスファインクリームですが、それと同じくらいオススメしたいのがサフィールのエッジ&ヒールレストアラーになります。何が良いかと言うと、手を汚さずに細かい部分もマジックペンで書くように染められる点になります!
一般的なコバインクは瓶にでキャップに筆がついたタイプですが、こちらは臭い上に筆でコバを塗るのに少々テクニックが必要なんです。その点エッジ&ヒールレストアラーは誰でも簡単にコバだけを染められるし、インクが固まりやすい瓶タイプと違い最後まで使い続けられるのもオススメポイントです。
実際に高倉健さんばりに不器用な筆者がオールデンのコバを塗ってみましたが、間違えてアッパーに塗ることなく綺麗に仕上げられました。革靴が綺麗に見える一番重要な箇所がつま先とコバだと個人的に考えているので、革靴愛好家の読者さんは是非一度使ってみてください✒️
ラコタが復活させたミリタリーラスト379X
左からアバディーンラスト→ミリタリーラスト→バンラスト
ここではミリタリーラスト(木型)のデザインやサイズ感、履き心地についてレビューしていきます。実はこのミリタリーラストは一時廃番になっていたラストで、1994年にオールデンの倉庫で眠っていた軍用靴を発見した日本の代理店ラコタハウスが1995年に復活させたラストになります。
デザインとしてはつま先が丸くぽってりしており、一歩間違えると「オジ靴」に見えてしまうダサさと紙一重の印象を受けます笑。しかしミリタリープレーントゥは極太パンツに合わせると本当に素敵に見えるので、靴単体での印象だけで判断するのは避けたいところ。
参考までに全く同じサイズのタッセルローファー(アバディーンラスト)とコインローファー(バンラスト)と並べて比較してみました。単体ではぽってりして見えたミリタリーラストですが、バンラストに比べると細くつま先以外はアバディーンラストとそこまで太さは変わらないのが分かります。
続いてサイズ感と履き心地についてレビューしていきます。筆者はオールデンを過去に7足4型のラストをどれも全く同じサイズ・ウィズで購入しました。よくオールデンマニアの方がラスト毎にサイズを変えてますが、個人的にはそこまで神経質にならなくて大丈夫だと感じています😅
なのでミリタリーラストも全く同じサイズ・ウィズを選びましたが、特に違和感を感じることなくジャストなら履き心地を得られました。またソールを見ると土踏まずがシェイプされアーチサポートが装備されており、今まで履いたオールデンでは感じたことのない足を掴まれるような履き心地を生んでいます。
具体的に言ってどんな履き心地か例えると、初めて足を入れた時に「この土踏まずを支える感覚はビルケンシュトックに似ている!」と冗談抜きで感じました。しかも返りの良いオイルドソールと小さめなヒールカップのおかげで、ビルケンの履き心地とスニーカーのようなフィット感が得られます。
極太パンツの相棒にピッタリなボリューム感
それではオールデンのミリタリープレーントゥがどれほど極太パンツと相性が良いのかをレビューしていきます。まずはアメカジの定番パンツであるリーバイス501(USA製レギュラー)と合わせてみましたが、違和感はないものの熟れ感はローファー系の方が一枚上手だと感じました。
続いて極太パンツの一つであるUS ARMYのアーミーチノを合わせてみましたが、ボリュームのあるデザインのミリタリープレーントゥが極太パンツをしっかりと受け止めてくれているのが分かります。もちろんローファー系の靴とアーミーチノでも合わせることは可能ですが、よりラギッドな印象を与えてくれます。
またオリジナルのサービスシューズは艶々なガラスレザーなのに対しミリタリープレーントゥはカーフレザーなので、自然な艶のおかげでアメカジにも合わせやすいです。もちろん靴紐に関してはロウ引きのドレス用ではなく、コットンの平紐を合わせた方がよりカジュアルコーデに似合います。
そして最後に筆者が所有する最も太いパンツであるUS ARMY M-65カーゴパンツを合わせてみましたが、さすがアメリカ軍に納入していただけあって違和感なくマッチしてくれます。このミリタリープレーントゥはパンツの裾で隠れていたら短靴なのかブーツなのか分からないデザインなのも魅力的です。
とは言え短靴らしい軽快感のあるコーデにしたい場合、ノークッションで合わせて靴の露出量を増やすことで熟れ感も演出できるでしょう。今までローファー以外のオールデンはコードバンばかり購入してきましたが、カーフの方がコーデしやすい上に実用性も高いとアラフィフになってやっと気付きました…💦
早めに買っておきたいオールデン53711まとめ
と言うことで今回は極太パンツと好相性なオールデンのミリタリープレーントゥ「53711」について書いてきました。ぱっと見はポッテリしたシルエットも相まってサラリーマンが履いているオジ靴に見えますが笑、極太シルエットのパンツに合わせると一気に魅力的な靴に見えるんだから不思議です!
また53711が採用するミリタリーラストはアーチサポートが装備されており、土踏まずをグッと支えてくれる履き心地は本当に魅力的です。もし筆者のように中古で購入を検討する場合はソールの状態をチェックすると共に、インナーのソックシートの状態も確認しておくと着用回数の目安になります。
参考までに53711に採用された雨に強いウォーターロックレザーソールですが、柔らかい分だけ小石が食い込みやすく減りやすいのが難点です。そこで筆者は長持ちさせる為にハーフラバーを貼ってもらいましたが、オススメは減りが遅いビブラム社の通称「ウロコ」こと♯5340 Explosionになります。以上です!
コメント
マサゴニア様と同様、過去にパラブーツのランス、トリッカーズ バートンを所有して来ているのですが、今回購入されたオールデンのサイズを教えていただけますでしょうか。
Tomoさん、はじめまして。
私のオールデンは全て8.5Dになります。
ちなみにエドグリ・クロケットは8E、ニューバランスは10Dがマイサイズです。
ご参考になれば幸いです(^^)