気軽に着られないヴィンテージリーバイス
「いつか相場が崩れて安くなるかな〜」と毎年様子をみていますが、待てど暮らせど全く値下がる空気感のないリーバイスのヴィンテージデニム。まぁヴィンテージ古着が人気なのは日本だけでなく世界的なムーブメントのようですので、今後も値下がることはしばらく無さそうな気配を感じます。
もちろん66前期以前のリーバイスのデニムは、他のメーカーには真似できない深いインディゴの色味とタテ落ちが非常に魅力的なのは間違いありません。しかし501XXならまだしも66前期ですら10万円が見えてくるような価格帯になったので、昔のように気軽に穿けなくなってしまいました。。
しかし高額になったヴィンテージデニムでも「洋服は着てなんぼ」なので、できれば現実的な価格帯で手に入れたいのが本音です。そこで今回はまだ世間からあまり注目されていないアメリカのストアブランドのヴィンテージデニムを探して購入したので、リーバイスとの違いも含めてレビューしていきます。
狙うならアメリカの三大ストアブランドから
古着好きの方あればご存知かと思いますが、ストアブランドとは小売業者が独自に作ったブランドのことで、例えばイオンの「トップバリュー」というプライベートブランドと同じイメージです。実はアメリカでは1870年代からストアブランドが存在しており、リーバイスに負けないほど歴史が長いのも特徴です。
そのストアブランドは古着マニアでも追いきれないほど数多く存在していましたが、そのほとんどがLeeやカーハートのような大手ワークブランドに吸収されたり倒産していきます。その中でも三大ストアブランドと呼ばれるのがJCペニー・シアーズローバック・モンゴメリーワードになります。
こちらはスーパーマーケットの業態で作業着コーナーに独自の服を置いており、例えばJCペニーの場合は作業着でフォアモストやBIG MAC、カウボーイ向けにランチクラフトといったブランドが存在します。おそらく古着屋で見つかる確率が最も高いストアブランドが、JCペニーが作るストアブランド達かと思います。
出典:ヤクオフ!
続いては三大ストアブランドの中では最も歴史の長い、1872年に創業したモンゴメリーワードになります。こちらが持つストアブランドの中で最も人気が高いのが101のデニムジャケットではないかと思います(画像1枚目)。その他にはパイオニアやパワーハウスが有名ですが、タマ数は少ない印象です。
そして三大ストアブランド最後を飾るのは1893年に創業したシアーズローバックで、JCペニーと同じくらい知名度があるかと思います。シアーズが持つストアブランドで最も有名かつレアなのがヘラクレスになるでしょうか。その他にもピルグリムやSTRONG RELAIABLEがありますが、どれもレアアイテムです。
残念ながらタマ数が圧倒的に少ないヘラクレスや101のヴィンテージデニムはリーバイスと同じかそれ以上に高額なので、あまりオススメできません(その前に出会えない笑)。やはりタマ数が多いおかげで、古着屋に行ったら見つけやすいJCペニーのストアブランドが比較的安く購入できるのでオススメしたいです!
買い直したフォアモスト1stデニムジャケット
それでは筆者が購入したストアブランドのヴィンテージデニムをご紹介していきますが、まず一つ目は40sフォアモストの1stタイプデニムジャケットになります。「過去にフォアモストの記事書いてなかったっけ?」と思われたそこの貴方、当ブログのヘビーユーザーに認定させていただきます笑。
確かに2021年9月にヤフオクでフォアモスト1stタイプを購入しましたが、ビッグサイズで気に入っていたもののバックルバックが付かない1st後期モデルだったのもあり読者さんにお譲りすることに。。その後1st前期モデルを探しましたが、高円寺サファリ1号店の正月初売りでしか見かけませんでした。
そんな中、古着仲間の「東の爆買王」kousei氏から「フォアモストを手放すから買いますか?」と連絡があり、即決で購入を決意しました(画像2枚目)。ちなみに2024年現在の相場ではサイズやコンディションで大きく変わりますが、20〜30万円なのでリーバイス1stの4〜5分の1の金額で購入する事ができます!
上:リーバイス 下:フォアモスト
それではフォアモスト1st前期モデルとリーバイス506XX前期モデルを比較していきますが、まずフォアモストの1st前期・後期の違いはバックルバックが付くか否かだけになります。よってフォアモスト1st後期モデルのディテールに関しては過去記事でたっぷり書いていますので、今回は省略させていただきます🙇🏻♂️
このフォアモスト1stタイプのデザインは完全にリーバイス506XXを意識しており、フロントプリーツ・ボックスステッチ・左だけのポケット・バックルバックとパクり放題です笑。ただしリーバイスが特許を取得している赤タブだけは手を出していないところに、法治国家であるアメリカを感じます。
背面のバックルバックを見ていくとどちらも40sのディテールである針シンチ仕様ですが、 バックルがメッキ処理されたリーバイスに対しフォアモストは黒ラッカーで塗られています。またリーバイスのバックルはリベットで補強されているのに対し、フォアモストはただ縫われているだけの簡素な仕様でした。
上:リーバイス 下:フォアモスト
左:リーバイス 右:フォアモスト
では「本家リーバイスじゃないと満足できないか?」と聞かれたら、フォアモストでも充分にヴィンテージデニムとして楽しめると回答します。何故なら深いインディゴの雰囲気は本家に劣るものの、フォアモストの生地もしっかりタテ落ちしておりヴィンテージらしい雰囲気があるのが理由になります。
しかもバックルバック以外にも楽しめるディテールがいくつかあり、その中でも40sまでのデニムにしか付かないボタン裏がドーム状になったツープロングと呼ばれるディテールがあります(画像1枚目)。このフォアモストは40sの個体なので当然ツープロングなので、変態な筆者は眺めてウットリしております笑。
さらにデニムジャケット単体で着た時の印象ですが、ポケット位置とボックスステッチの大きさが違うので好きな人が見たら一目でフォアモストだと分かります。しかしインナー使いした場合は見える面積が少ないので、パッと見ではリーバイス506XXなのかフォアモストなのか分からないでしょう。
ボタンフライの60sシアーズ5ポケットデニム
続いて購入したストアブランドのヴィンテージデニムは、静岡で最もお気に入りの古着屋PRAYER ARROWで発見したシアーズの5ポケットデニムパンツになります。こちらの古着屋はコンディション重視でアメリカから買い付けしてきており、筆者が訪問した時はちょうど入荷日の一週間後でした。
先述したフォアモスト1stタイプデニムジャケットを購入して金欠状態でしたが、ストアブランドコーナーを物色していたところ濃い目のデニムパンツを発見しました。それが今回購入したシアーズで、イエローの綿糸がバンバン使われていることから1960年代製で間違いないだろうとはオーナーの弁。
これがもしリーバイス501だとしたらbigE初期モデルに該当しますので、この濃さだと20〜30万円はしてしまいます。それが同じ60sでもシアーズ製になるとリーバイスの10分の1にあたる2万円で買えてしまいます。しかもシアーズではレアなボタンフライだったのもあり、迷わず即決したことは言うまでもありません。
今回購入したシアーズの5ポケットデニムパンツですが、このポケットのスレーキに付いた赤い布タグが無ければシアーズ製であると分からなかった可能性が高いです。実際に紙パッチが付属していないばかりかボタンやステッチに何の特徴もなかったので、下手したら「無名ストアブランド製」扱いされたかもしれません。
そして赤い布タグを読むと「TRIM & TGHIT」と記載されていることから、このパンツはテーパードシルエットであることが分かります。当時ワークウエア扱いだったデニムパンツをタウンユースに格上げする為、リーバイスも1966年以降の501(いわゆるbigE時代)からテーパードストレートに変化しました。
実際にシアーズのデニムパンツを筆者が穿いてみたところ、股上はリーバイスより深いですがシルエットは501bigEを彷彿とさせるテーパードストレートでした。もちろんデニム生地はしっかりとタテ落ちしているので、パッと見でヴィンテージデニムだと分かるのも「お値段以上」だと感じました。
リーバイス501bigEとシアーズを直接比較
3枚とも左:シアーズ 右:リーバイス
それでは本家リーバイスの同年代モデルである501bigEと今回購入したシアーズを比較していきますが、タテ落ちしたデニム生地の雰囲気はシアーズも負けていないように見えます。しかしシアーズはインディゴ染料の色味が浅い為、リーバイスの方が濃淡のメリハリが付いてカッコ良い色落ちをしています。
続いてボタンのディテールを見ていくと、自社名の刻印が入ったリーバイスに対しシアーズはツブツブの模様が入った無記名のボタンが使われています。これは他のストアブランドでも同様の傾向があり、布タグや紙パッチが残っていないとどこのブランドなのか不明になるのがストアブランドあるあるです笑。
続いて縫製についてチェックしてみると、サイドがセルビッジ(赤耳)仕様になっているリーバイスに対しシアーズは脇割りどころかダブルステッチで縫われているだけです。よってリーバイスのような凸凹としたキャタピラーのようなアタリを楽しめず残念。。しかし一点だけ501bigEより良い点が。それは…
まるでリーバイス501XXのように綿糸で縫われたヒップポケットのステッチが解れてヴィンテージの雰囲気が満載な点になります。正直な話、このステッチがポリエステル混合のスパン糸で全く解れていなかったらこのパンツを買わなかったでしょう。それくらいヴィンテージデニム愛好家には重要なディテールです!
だって日本のレプリカブランドでもウエアハウスやジェラードなど多くのブランドが独自の形のステッチを綿糸で入れていますが、それは穿き込んだ時に解れてステッチ下の濃いデニムが顔を出す様がヴィンテージっぽくてカッコいいからに違いありません(フルカウントのステッチ復活を熱望します🙇🏻♂️)。
そしてシアーズのヒップポケットに入ったステッチを見ていくと、リーバイスとLeeの中間みたいな?緩やかなVの字で縫われています。また左ポケットにタバコを入れていたのかステッチの解れが大きく、このポケットを眺めているだけでウイスキー3杯は軽く飲めそうなほど気に入っています笑。
格安で買えるストアブランドのデニムまとめ
と言うことで今回はリーバイスより断然安いストアブランドのヴィンテージデニムを購入し、本家リーバイスのヴィンテージデニムと比較してみました。もちろん本家の方がインディゴの色味も深く市場価値も圧倒的に上ですが、タテ落ちしたヴィンテージならではの雰囲気はストアブランドでも充分感じられました。
また数あるストアブランドの中でもオススメなのは、比較的タマ数の多い御三家(JCペニー、シアーズローバック、モンゴメリーワード)になります。ただしヘラクレスや101のようなレアかつ人気の高いストアブランドはリーバイスと同じくらい高額なので、BIG MACやPAY DAYが手を出しやすいと思います。
最後にタグにストアブランドの名前がなくWPLやRNのナンバーが記されている場合は、インターネットで調べるとブランドが分かります。参考までに画像2枚目のシャンブレーシャツに記載されたWPL6326はシアーズローバック社なので、もしかしたらヘラクレスと同じかも?と妄想して楽しんでいます笑。以上です!
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